引っ張っていくことだけがリーダーシップ?
粟根愛華/お茶生活科学2年/チームAリーダー/2020年8月登録/東京都出身
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このブログは、ビジネスアスリートのスターを目指すサクラスのインターンが、同僚インターンに対して、同じ目線からインタビューしていく。
今回は新入りインターンの廣瀬陽菜が粟根愛華さん(以下粟根さん)に取材した。粟根さんは現在大学で心理学を学びながら、特任アソシエイトのチームAリーダーとして活動している。
インタビューでは、リーダーの経験で学んだことや、学校とインターンの相互作用について聞いていく。
(写真はすべて粟根さん本人から提供していただいた。)
――粟根さんは現在、特任アソシエイトのチームAでリーダーをなさっていますが、実際にリーダーをやってみて、やる前と比べてリーダーに対するイメージはどのように変わりましたか?
イメージの変化は特にないのですが、最前線に経ってチームを引っ張っていくというよりかは、一人ひとりの力を最大限引き出してあげる、チームマネジメントをする力が求められていると感じています。
――リーダーをするうえで、普段気を付けていることはありますか?
メンバーと話すときは自分が自分がと前に出るのではなく、相手の話をしっかり聞き、自分は理解できているというリアクションを取るようにしています。
この人話通じないなと思われたら、リーダーに対して意見を行ってもらうことができません。一人ひとりの力を引き出すためにも、意見をきちんと聞き、リアクションを必ず取ることが大事だと考えています。
――リーダーを務める中で、参考にしている人はいますか?
敵チームですが…チームNの西さんを参考にしています。西さんは意見を引き出す力に加えて、まとめる力も持っていらっしゃるんです。そういった面で尊敬をしています。
また、沢山の方々から尊敬や信頼を得ている方なので、色々と吸収したいと思っています。
――過去の失敗談などはありますか?
たくさんあります…(苦笑) 中高は出たがりで、リーダーに沢山立候補して、委員会やクラス、部活でリーダーをしていたため、その分失敗もしてきました。
高校生の時に、合唱祭で3年連続指揮者を務めました。1年の合唱祭で指揮者を務めたとき、リーダーシップとはとにかく最前線で皆を引っ張って行くことだと考えていました。勝つことだけを目標として掲げて、私が先頭で走っていれば、みんな練習を励んでくれると思っていたんです。
実際に、朝も放課後ももちろん練習を入れ練習に来ないと責める、練習は基本ダメ出しばかり、向上心が伝わればダメ出しはすべて受け入れてもらえると思っていました。
クラスの中には付いてきてくれる人もいましたが、全員が付いてきてくれるはずもなく、ついてこられない人は置き去り状態になっていました。
1年の合唱祭が終わり、クラスメイトから「粟根って正しいけど怖いからついていきたくなくなるよね、せっかく正しいのに」と言われたんです。
自分は「正しいことをしていればメンバーがついてきてくれる」と思っていたので、その言葉をきっかけに「正しさを押し付けるのではだめ」ということに気がつきました。朝練に来ることが正しいとすれば、来ない人は正しくないから怒る、ひたすらに朝練に来いと言うことは正しさの押し付けでした。
そこから「どのように自然に受け入れやすい形で正しいことをしてもらえるか」と、リーダーシップ発揮のHowに焦点をあてられるようになりました。
――その時、どうするべきだったと思いますか?
最前線に立つだけでなく、メンバーのやる気や実力を引き出してあげる動きをすべきだったと思います。
自分がメンバーを引っ張るのではなく、メンバーが自然とチームを引っ張ってくれるようにする。
リーダーが車にロープを括り付けて引っ張っていくのではなく、リーダーが車にガソリンを入れ、メンバーが車を動かしてくれる。そんな状況を作ることがリーダーに求められていました。
その次の年の合唱祭では、Howに焦点を当てて、逆に歌が歌うことに苦手意識がある人に中心的にアプローチをしてみました。歌が得意な人はアプローチをしなくてもある程度は頑張ってくれる。
得意な人と一緒に、苦手意識がある人に「自分たちだけでは結果は出せない。力を貸してほしい。」とアプローチをかけ、個別で一緒に歌の基礎のアドバイスをしたんです。
苦手意識のある人は「自分は合唱祭では必要ない、むしろ足を引っ張てしまうだけだ」と思っていたので、あえて「力を貸してほしい」とこちらから協力をお願いする形を取ることで、自分が必要とされている、と感じてもらうようにしました。
練習には来ない人に対して怒っても来ないままだったが、協力を仰いだ途端みんな来てくれるようになりました。
Howを変えるだけでメンバーの行動が変わったんです。
その結果、明らかにクラスのチーム力が上がりました。自分は歌が苦手だと思っていた人は積極的にうまい人を頼りながら練習をし、うまい人も頼られることで自信ややる気につながっていく。
当時このことをとても不思議に思いましたが、このようにしてみんなのやる気を内側から引きだしチーム内の協力を促し結果につなげていく、これがリーダーシップなのか、と実感を持ちました。
――リーダーシップについて普段どんなことを勉強していますか?
大学で心理学の勉強をしていて、その中でも社会心理学の勉強は「チームワークや人のやる気はどこから出てくるのか」などリーダーシップに繋がる部分が多いです。
実際に自分が中高時代、リーダーを沢山経験する中で、心理学を学びたいと思い、心理学科に進んだこともあり、大学の勉強そのものがリーダーシップの勉強に繋がっています。
なので、特別「リーダーシップとは」みたいな本やホームページは読んでいませんが、社会心理学の論文や本を読むことが結果としてリーダーシップの勉強になっています。根拠に裏付けられた論文を読むことで、しっかりと納得したうえで取り入れることができます。
――リーダーシップについて、勉強以外で普段どのような努力をしていますか?
普段努力していることは3つあります。
1つ目は「日々のコミュニケーションではあえて下がる」です。
特にメンバーと話すときはリーダーという肩書きを外して、対等な関係で意見を言ったり、聞いたりする。そして、メンバーの意見は沢山聞くようにする。そうすることで、メンバーへの尊敬の気持ちも伝わるのではないかと思います。
私は自分の意見をとにかく言ってしまう人でしたが、学年でリーダーシップから人気を得ている友達をよく観察したところ、普段のコミュニケーションではみんなとは対等に、むしろ自分が下がって「聞き上手」になっていることに気付きました。
それは「聞き上手」になることで、自分が話す、逆の立場になったときに、人は与えられたものを返さなきゃと思う傾向があることから、自分の意見を相手によく聞いてもらえやすくなるからなのではないか、と考えました。
結局、「自分の意見を理解してもらう」というゴールが同じであったとしても、それまでのHowが異なると結果も変わってきます。
このことから、自分は普段の会話では「聞き上手」になるようにしています。
例えば、朝の朝礼ではメンバーに疑問を投げかけて答えてもらい、その答えをまとめたものを反復して言う、またはメンバーから言ってもらえたものを少し発展させて返すように意識しています。
先日も朝礼で「日々している努力」を話しているときに、あるメンバーが「誰かからアドバイスをもらった時に、都度スクショしている」と答えてくれました。それに対して「スクショをすることで画像として残るから前後の文脈も残して見返せるし、文字化するより手軽で真似しやすいね」と返したところ、他のメンバーからたしかに、と共感を得ることができました。
答えてもらったものをほったらかしにせずに、発見や学びにつながるように返せるように意識するのも「聞き上手」の一環かなと考えます。
――自分の意見を押し付けるのではなく、「聞き上手」でいることがリーダーシップには大事なんですね。では、2つ目は何でしょうか?
2つ目は「決断力を鍛える」です。
サクラスでは急いで決断を求められることはあまりありませんが、高校生の時はリーダーとして決断を急かされることがよくありました。
私は頭の中でぐるぐる考えてしまうことで混乱してしまい決断が遅くなる傾向があるので、決断に必要な要素を紙に図や表として書き出すようにしています。
ただ文章としてではなく、図式化するというのがポイントです。また図表にすることでチームメンバーにも伝わりやすくなります。
図式化することで、内容の整理が早くなるうえ、一覧としてみれるので「何を見落としているのか」にも早く気づくことができるようになりました。
先週などは案件を同時並行で3つ抱えていて、いつ何をやらなければならないか何となくわかっていたつもりでも見落としがないか不安だったため、そこで図式化しました。
カレンダーを手で書いて、そこに細かくやらなければならないことを1日単位で1週間分書きました。毎日のTODOリストをカレンダーに書くようなイメージです。
たとえば一つの案件でも、広告出稿後のことだけで、レポートづくり、その修正、完了の報告、請求書の送付など、細かなタスクレベルでは多くのやるべきことがあります。
今回の場合は、ある案件のレポートを書いた直後に別の案件のターゲットリスト作成があり、カレンダーに書き出した結果、レポートの概要だけでも先に書いておくことで、仕事量のピークを分散することができました。結果として期限内に仕事を完了し、しかも余裕があったことでレポートのクオリティを高める余裕もできたと感じています。
――では、3つ目は何でしょうか?
3つ目は「鋼のハートを身に着ける」です。
リーダーは自分のことを犠牲にしてメンバーのために働くことがありますが、メンバーから心無い言葉を言われてしまうことがあります。
そこで、アドバイスと悪口の聞き分けをしっかりとすることが大切です。アドバイスは相手を思っていう言葉ですが、悪口は自分中心で相手のことは考えていません。この2つを聞き分け、悪口や陰口は聞かない、聞いても気にしないようにしています。
しかしこれは、自分に都合の悪い意見をすべて聞かないこととは全く違います。自分に都合の悪いことをすべて拒否していたら、大事な意見を聞き逃してしまいます。聞かない力はなく、聞き分ける力が必要なのです。
――何のためにチームやリーダーがあるのかをしっかりと理解しなくてはいけないですね。
そうですね。チームとしての目標を見失ってはいけません。そういった意味では、リーダーが突き進むことは間違いではないです。チームの目標のために努力する自分の姿を見て触発されて、付いてきてくれる仲間もできるので。
さらに、リーダーを務めるうえでは、自分の実績も非常に大事であると考えています。サクラスの中でも、普段の仕事がダメダメだったら誰も付いてきてくれません。今、私が頑張らなくてはいけないことは実績を残すことなんです。
高校の合唱祭では、1年の時は、クラスに歌がうまい人が集まったこともあり、優勝することができました。2年では、合唱祭優勝に加えて、オーケストラ部の全国大会で学生指揮者をやりました。
こういった実績があったため、3年生では、自分がアプローチをしなくても自然とみんなついてきてくれるようになったんです。「粟根と一緒に優勝したい」と言って、積極的に練習に励んでくれました。
しっかりと実績を残すことは、リーダーを務める上で大切な要素だと感じています。
――サクラスの仕事が普段の生活に役立つことはありますか?
サクラスのメンバーはみんなしっかりしているので、普段のモチベーションが上がります。私は普段、だらだらしがちだったのですが、スケジュール管理をするようになり、時間の使い方が変わりました。
――サクラスの仕事は将来に役立つと思いますか?
思います。私は元々就活をする気はなく、院に行ってアカデミックな場での職業を希望しています。そのため、ビジネスの視点は必要ないと思っていました。
しかし、サクラスで働く中で、自分の研究分野をどうビジネスに活かせるかという考え方が生まれてきました。
先月、ディスプレイ広告の文言を修正する場面があり、始めて文言を考えたのですが、その時に短い文字数のなかでよりクリックされる文言はどんなものだろう、と考えました。
自分は社会心理学での同調というトピックを学んでいたので、例えば「皆が」など周りの人を巻き込んだ言葉を入れる気を引きやすいのではないかと考えました。
もちろん、このトピックはもう誰かが研究していると思いますが、広告文での同調の文化差や逆に同調が起きないケースなど、同じトピックでもいろいろな研究ができて、それをビジネスに活かせるかなと、思うようになりました。
自分のしたい研究をただするだけでは、需要に反応することができないかもしれません。サクラスでインターンをすることによって、視野が広がりました。研究を職にするとしても、ビジネスの視点から考えることは大切だと感じています。
粟根さんはリーダーを沢山経験する中で、チームに求められているリーダーになるための努力を惜しまなかった。意固地にならず、周りの人を観察し、沢山取り入れた。みんなから認めてもらえるリーダーになることは難しいが、目標を見失わず努力をし続けた結果、粟根さんは現在チームAリーダーとして活躍している。
このインタビューが、リーダーシップについて悩んでいる人にとって、解決の糸口になることを期待する。
今回のインタビュイー
粟根愛華(あわねあいか)
お茶の水女子大学 生活科学部 心理学科 2年
2020年7月入社。サクラスでは、特任アソシエイトメンバーとして広告運用を担当。
(文/廣瀬陽菜=日本女子大学家政学部2年)
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